社会の高齢化に伴い、医療専門職の中でも介護職はその必要性がとても高くなっている職種だ。その活躍の場は医療現場に限らず、訪問介護事業所や老人ホームなどの入所型介護施設など多種多様だ。
しかし、介護福祉士の平均年収は300万から400万前後で、ケアマネージャーだと350万から400万前後、非正規雇用が多いホームヘルパーの場合は280万円ほどになっており、決して高給与とは言えない。一般に介護職はその業務が肉体的にも精神的にもとてもハードな仕事であるにもかかわらず、その収入は労働に見合っていないことが多いようだ。しかも、介護職は専門性が高いため、利用者の身体介護を行う場合は資格を取得し、ある程度の職務経験などが必要になる。そのため、余計に納得のいく給与が得られていないと不満もでてしまうのだ。
とはいえ、介護業界は2000年の介護保険制度の見直しがされたことをきっかけに、民間企業の参入が始まった新しい業界だ。そのため、多くの介護職は、まだ経験年数やスキルといったものが給与に明確に反映される仕組みが確立されておらず、平均年収を下げている要因になっていると思える。このことは、介護士不足の原因にもなっているので、政府も優秀な人材を介護業界に確保することを目的として、様々な施策を打ち出しているのが現状だ。介護業界が抱える問題は容易に解決できるとは言えないが、徐々に処遇改善は進んでいるので、今後の動向に注目しておきたい。