高齢者の在宅復帰を目指す介護老人保健施設

介護老人保健施設は、介護を必要とする高齢者の自立を支援する施設として制度化されたものだ。医療ケアと日常生活の支援を入所者に対して提供するもので、自宅復帰を目指すことを条件としている。医師による管理下で、看護や介護といったケアをはじめ、作業療法士や理学療法士などによるリハビリを提供するのだ。そのため、医療専門職の資格者も多く活躍している。

介護老人保健施設では、入所する利用者の身体状態に合わせて目標を設定し、一人ひとりにケアの内容が決められており、24時間体制でサービスの提供がなされている。ただし、この施設の特徴は入院治療の必要はないものの、リハビリや看護、介護が必要な高齢者が、自宅に戻るまでのリハビリという位置づけになっている。とはいえ、実際に自宅に戻れるのは4割程度だといわれており、その他は再度病院に戻っていくケースが多いようだ。

しかし、この施設が出来たおかげで過剰な投薬などによる健康弊害が減ったり、慢性疾患への生活指導を重視したケアが進んでいる。利用できるのは、介護保険法に基づき要介護認定を受けた人のうち、入院治療の必要がない要介護度と判定されたリハビリが必要な人である。そのため、スタッフは入所者一人ひとりに対して手厚いサポートを行うものの、できることは自分でやってもらうという方針を取りながらケアする必要があるのだ。そして、このような施設の需要は今後も高齢化の加速に伴い増えていくことが予想される。